最近本 | あきらです

あきらです

にゃは~

久しぶりに小説というものを読んだ。

片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)/道尾 秀介

¥540
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本屋さんでぺラッと立ち読みして、引き込まれてしまったので。

現実ってそんなもんだよね。
でも、そんな現実で起こってる出来事だから、面白いんだよね。

探偵事務所のスタッフと、その事務所が入っているアパートの住人たちが、色んなところで繋がって、依頼された案件の裏だとか横だとか表だとかが明かされていくお話。

乱暴にくくってしまえば、マイノリティも強く生きてっていいんだよ、ってことでしょうか。

なんていうの、種明かしがちょっと弱いかなあと思う。
でもこれは小説だからできる謎かけで、それを昔はずるい!って思ってたけども、この話は総思わなかったな。
メインの謎ではなかったし、それを暗示するヒントもちょこちょこ出てきたからかな。


冒頭の引きこむ力が素敵だった。



アキハバラ (中公文庫)/今野 敏

¥800
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気になる作家さんの一冊目。

そんな人たちが、そんなお人よしなわけないだろ!

と突っ込みまくりつつも、

でも、そういう人たちも、ちゃんと人の心を持っていて欲しい。

と願う気持ちを満たしてくれるお話。

アラブ系スパイやらモサドやらKGBやらジャパニーズヤクザやらアキバのヲタクとかハッカーとか警察がくんずほぐれつ…じゃなくて、色んなアクシデントで繋がって絡み合いつつ、それぞれがそれぞれの本分でなすべきことをなし、めでたしめでたし。

これさー、上中下巻くらいのボリュウムで読みたい。
読み終わった後の感想
「長編の小説をうまくまとめて2時間半の映画にした感じ」







真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)/大沼紀子

¥651
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うちの近くに夜だけ営業するパン屋さんがあって、おなじだー、と思って手に取ってみた。
そしたらこの話に出てくるブーランジェリークレバヤシも近所が舞台だった。

ニヤリとした。

髭のお兄さんが販売で、美形のお兄さんがパンを焼く。

西洋骨董洋菓子店を思い出してニヤリとした。

母親に置いてかれた女子高生、同じく母親に放置されぎみの男の子、リストラされたニューハーフさん、覗きが趣味の脚本家。

色んな人がやってきて、パンを買い、パンを食べ、色んな問題を分け合って、ぶつかって、小さな解決がやってくる。

まるでパンを作っているよう。

こういう話って、ぶっちゃけ話自体はありがちでもなんでもいい。

カイロプラクティックを施す対象は、たいてい寂しさを抱え込んでいるひねくれた子供と疲れた大人あたりだろう。

彼らをいかにほぐしてやるか、姿勢を正してやれるか。
たくさんの寂しさを一人で抱える懐と、他人に預けたり預かったりする余裕。

ああ、わだかまりだとか辛いことだとかねじくれた感情だとかが「ふっ」とほぐれるの、分かるなあ、
と思える言葉をちゃんと持っているかどうかが肝心かなめ。


そういう意味で、この話のその肝心かなめな言葉は、今の自分にはズキュンとくる言葉ではなかったけれど、多分、9年前の自分には必要な言葉だったんだろうと思う。

人からもらいたい言葉だったんだろうと思う。


実際うちの近くにあったパン屋さんはおじいさんとおばあさんがやっていて、でももう店じまいしちゃって、結局買いに行くことはできなかった。

残念。